2017年10月7日土曜日

北海道地名由来小事典

北海道地名由来小事典

―あ―
【愛冠】あいかっぷ 〔釧路支庁・厚岸町〕〔十勝支庁・足寄町〕〔その他〕 **岬
アイカップ(できない、とどかない)
険しくて通り抜けられないような岬・崖などをさす言葉として多く使われる。このような場所の上には古く神を祭る幣場があり、漁や狩または戦争に出かけるさいにその神に祈ってそこの岩や崖に矢を射って運勢・武運を試す慣しがあった。その際、矢のとどかなかった所に「アイカップ」という名がつき、多くの戦争のさいに矢がとどかなかったというような伝説がついている。
【愛国】あいこく 〔旧広尾線の駅名〕
明治44年の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の行啓を機に結成された愛国青年団の名にちなむ。
【愛別町】あいべつちょう 〔上川支庁〕
アイ・ペツ(矢の川)から転化したもの。水の流れが矢のように速いところから
【赤井川村】あかいがわむら 〔後志支庁〕
フレ・ペツ(赤い川)を意訳したもの。
【赤平市】あかびらし 〔空知支庁中央部〕 
空知川の左岸がヒラ・ピラ(崖)になっていることから ①アカ・ピラ(山稜の崖)、 またその崖が赤土なので②フレ・ピラ(赤い崖)のフレだけを意訳した
【阿寒】あかん 〔釧路支庁西部〕 **群・**町・**湖・**温泉・**川
①ラカン・ペツ(ウグイの産卵する川)の転訛 ②雄阿寒岳・雌阿寒岳が両輪のようにそびえているので、アカム(車輪) ③アイヌの伝承で昔の大地震のときに雄阿寒岳が動じなかったので、アカン(不動)
【朝日町】 あさひちょう 〔上川支庁〕
上士別村から分村の際,母村の東に位置しているところから名付けた。
【旭川】あさひかわ 〔中央部〕 **市
忠別川の語源である「チュプ・ペツ(日の川)」の意訳
旭川は忠別川が石狩川に合流する所に位置する。
【芦別】あしべつ 〔空知川中流部〕 **市・**川・**山地・**岳
①アシ・ペツ(潅木の中を流れる川) ②川底が深く険しい川なので、アシ・ペツ(立つ川)
【足寄】あしょろ 〔十勝支庁北部〕 **群・**町・**川
①エショロ・ペツ(沿って下る川) ②十勝の大平原を見渡せるので、アショロ(大原)
【厚岸】あっけし 〔釧路市の東〕 **群・**町・**湖・**湾
①アツ・ケ・ウシ・イ(楡の皮を多くはぐ所) ②厚岸湖を意味するアツ・ケシ・トー(楡の下の沼) ③アッケシ・イ(牡蠣のある所)
【厚沢部町】あっさぶちょう 〔檜山支庁〕
ハチャムベツからアッサブと転化したもの。桜鳥川の意。
【厚真町】あつまちょう 〔胆振支庁〕
アツマト(湿地にアシの茂る所)
【厚田村】あつたむら 〔石狩支庁〕
アーラ・ペツ(トカゲの川)。宝永3年松前藩がここに運上屋を置いたときから和人は厚田と呼んでいた。
【網走】あばしり 〔北海道東部〕 **支庁・**群・**市・**湖
①ア・パ・シリ(我らが発見した土地) ②アパ・シリ(入り口の土地) ③同地にある岩窟の入り口に雨水が溜まり漏水するのでアパ・シリ(漏れる所) ④網走港頭にある帽子岩のことをカムイワタラ(神の岩)といって漁民のアイヌが崇拝し、木の幣(イナウ)を捧げたところからチパ・シリ(幣場のある島)と呼ばれ、それが訛ってアバシリとなった
【虻田町】あぶたちょう 〔胆振支庁〕
アプ・タ・ペツ(釣針を作る(打つ)川)
―い―
【生田原町】いくたわらちょう 〔網走支庁〕
イクタラ(ササ)
【池田町】いけだちょう 〔十勝支庁〕
明治29年、旧鳥取藩主、侯爵池田仲博、子爵池田源が入植したことによる。
【漁川】いざりがわ 〔千歳・恵庭〕
イチャン・コツ・ペ(鮭が産卵する窪みのある川)のイチャンが訛ってイザリとなり、これに「漁」の字をあてた。
【石狩】いしかり 〔北海道中部〕 **支庁・**群・**町・**川・**山地・**岳・**平野・**湾
①イ・シカリ(塞がる) ②イシカラ・ペツ(回流する川) ③イシ・カラ・ペツ(美しく作られた川)
【胆振】いぶり 〔北海道中南部〕 **支庁
古名:いぶつ、いふつ
①イ・プツ(それ〈千歳〉への口) ②ユー・プツ(温泉の〈川の〉口)
【今金町】いまかねちょう 〔檜山支庁・北部〕
明治28年、愛媛県出身の今村藤次郎、金森石郎らが入植。開拓の功労者である今村・金森両翁の頭文字を組み合わせ町名を「今金」とした
【岩尾内湖】いわおないこ 〔紋別市の西・朝日町〕
イワウ・ナイ(硫黄の川)
【岩内町】いわないちょう 〔後志支庁〕
イワ・ナイ(イオウの流れる沢)
【岩見沢市】いわみざわし 〔札幌の東〕
明治10年頃、幌内炭坑の開発のために開拓使が札幌・幌内間の道路を開削した際、市内北部を流れる幾春別川のほとりに一棟の休息所を設け、工事に従事する人夫・役人が湯に入り仕事の疲れを癒した。そこからこの休息所の付近を「湯浴沢(ゆあみさわ)」と称し、それが訛って岩見沢になった。
 
―う―
【有珠】うす 〔中南部・伊達市北東部〕 **群・**山
ウショロ〈ウシ・オロ〉(湾内〈湾の内側〉)の転訛
小樽の忍路海岸(おしょろかいがん)と同じ語源
【歌志内市】うたしないし 〔空知〕
オタ・ウシ・ナイ(砂の多い川)
【歌登町】うたのぼりちょう 〔宗谷支庁〕
ウタ・ヌプリ(すりばち型の山)
【浦臼町】うらうすちょう 〔空知支庁〕
ウライ・ウシ(網を干す場所)。
【浦河】うらかわ 〔日高支庁・支庁所在地〕 **群・**町
ウララ・ペツ(霧の深い川)
【浦幌町】うらほろちょう 〔十勝支庁〕
ウライポロ(大きな網代)
【雨竜】うりゅう 〔空知支庁〕 **町・**川
①ウリロ・ペツ(鵜(う)の川) ②オリリ・オ・ペツ(川尻に波の立つ川)

―え―
【枝幸町】えさしちょう 〔宗谷支庁〕
エサシ(コンブの意)
【江差町】えさしちょう 〔檜山支庁・支庁所在地〕 
エ・サシ・イ(頭を浜につけている所) 岬の意。
【恵山】えさん 〔渡島半島南端〕 **町・**岬・**温泉
エ・シャニ(頭を浜に突き出している所) 岬の意。もとは恵山岬をさす地名。
【択捉島】えとろふとう 〔北方領土〕
①エツ・オロ・プ(鼻水のある所):「此所之人の鼻水をたらしたる形状の石有故」(松浦武四郎「国群命名案」) ②エト・オロ・オプ(岬のある所)
【恵庭】えにわ 〔札幌の西南〕 **市・**岳
エ・エン・イワ(頭が尖った岩山) 恵庭だけのこと
【江別】えべつ 〔石狩平野中央〕 **市・**川
①江別川が三つに分かれていることから、エペツケ・ペツ(みつくちの川) ②ユペ・オツ(チョウザメのいる川) ③千歳に出る北口にあたることから、イ・プツ(それ〈千歳〉への口) ④エ・ペツ(胆汁のような川) ⑤ユ・ペツ(温泉水の川) ⑥イペ・オツ(魚が多い川)
【襟裳】えりも 〔南岸・太平洋に突き出た岬〕 えりも町、**岬・**海山・**堆
エンルム(岬)の転訛。
襟裳岬は特に目だつので、ポロ・エンルム(大きな岬)、オンネ・エンルム(大老の岬)と呼ばれた。
【遠軽町】えんがるちょう 〔網走支庁内陸部〕 
インガル・シ(いつも眺める所)
遠軽町の市街地背後に瞰望岩(がんぼういわ)という地上75mの巨岩が直立し、町のシンボルとなっている。この岩をアイヌは眺望台に利用し、また神祭りの場としてもいたという。
【遠別】えんべつ 〔留萌支庁〕 **町・**川
①ウ・イエ・ペツ(相語る川) 昔、天塩山中のアイヌが遠別川を下って海岸の人々と話すのを楽しみにていた。 ②ウエン・ペツ(悪い川)

―お―
【追分町】おいわけちょう 〔胆振支庁〕
夕張線の分岐点となったので追分と名付けたもの。
【雄武町】おうむちょう 〔網走支庁〕
オ・ム・イ(川尻がふさがる所)から出た。
【大滝村】おおたきむら 〔胆振支庁〕
もとは徳舜瞥といい,アイヌ語「トクシシユウシエペツ」(アメマスの いる川)から転化したもの。昭和25年9月村名を大滝村と改称。
村名由来の詳細は不明
【大野町】おおのちょう 〔渡島支庁〕
明治13年大野村ほか5村戸長役場を設置。
同33年この6村を合わせ,同時に一級町村制施行,村名を大野村とした。
昭和32年1月町制施行。
町名由来の詳細は不明
【大鳳川】おおほうがわ 〔深川市〕
オーホ・ナイ(深い川)
【奥尻】おくしり 〔渡島半島西方の島〕 **群・**町・**島・**海峡・**海嶺
イクシュン・シリ(向こうの島)の転訛
【置戸町】おけとちょう 〔網走支庁〕
オケツウン・ナイ(川尻に獣皮をかわかすはりワクのある谷川)の上部をとったもの。
【興部町】おこっぺちょう 〔網走支庁〕
オ・ウコッペ(川尻の合流する所)
【渡島】おしま 〔北海道南西部〕 **支庁・**半島・**山地・**大島
松浦武四郎による古典からの引用。「渡島」は「日本書紀」以降の正史に頻出し、北海道南部をさすとの説が有力である。
【長万部】おしゃまんべ 〔渡島支庁・内浦湾〕 **町・**川・**温泉
①神が釣り上げたカレイを山に捧げたというアイヌの伝説があり、シャマンベ・ヌプリ(カレイの山・写万部山)の山腹にカレイの形をした残雪がみられ、そこからウパシ・シャマンベ(雪のカレイ)と呼ばれ、訛ってオシャマベとなった ②長万部川をカレイが遡上することから、オ・シャマンベ(川尻のカレイ) ③長万部川が河口付近で折れ曲がって、いったん海岸線に平行して流れるところから、オ・シャマム・ペツ(川尻が横になっている川)
【忍路海岸】おしょろかいがん 〔小樽〕
ウショロ〈ウシ・オロ〉(湾内〈湾の内側〉)の転訛
有珠と同じ語源
【尾岱沼】おだいとう 〔野付〕
オタ・エト(砂浜の岬)
現在は野付湾とその対岸の市街地の地名であるが、野付半島のことを示すアイヌ語が語源
【大楽毛】おたのしけ 〔釧路市西部にある海岸部の地名〕 **川
オタ・ノシケ(砂浜の中央)
遠浅の砂浜が続くことに由来する
【小樽】おたる 〔石狩湾〕 **市・**湾
近世までオタルナイと呼ばれていたが明治2年の群名選択でナイが省略されオタルとなった。
オタルナイは石狩湾に注ぐ小樽内川をさす。
①オタ・オル・ナイ(砂浜のなかの川) ②オタ・ル・ナイ(砂浜の路の川) ③オタ・ナイ(砂の川) 
いずれも小樽内川の河口付近が遠浅の砂浜であったことに由来する。
【小樽内川】おたるないがわ 〔小樽〕
小樽の語源
①オタ・オル・ナイ(砂浜のなかの川) ②オタ・ル・ナイ(砂浜の路の川) ③オタ・ナイ(砂の川) 
いずれも小樽内川の河口付近が遠浅の砂浜であったことに由来する。
【音威子府村】おといねっぷむら 〔上川支庁〕
オ・トイネ・プ(河口のよごれているところ)
【音更町】おとふけちょう 〔十勝支庁〕
オトプケ(髪の毛)
【乙部町】おとべちょう 〔檜山支庁〕
オ・ト・ウン・ペ(川口に沼・ある・もの)
【帯広】おびひろ 〔十勝平野中央〕 **市・**川
古名:オベリベリ
帯広川がいく筋にも分かれて十勝川に注ぐので、オ・ペレ・ペレケ・プ(川尻がいくつにも避けているもの)
オベリベリのオベに「帯」の字をあて、広大な十勝平野をあらわす「広」をつけて帯広とした。
【小平町】おびらちょう 留萌支庁
オ・ピラ・シュ・ペツ(川口にガケのある所)
【雄冬岬】おふゆみさき 〔留萌支庁・浜益から増毛の海岸線〕
ウフ・イ(焼けている所)
由来は諸説あり①雷が落ちて付近の土地が焼けた、②のろしを上げた、③海岸の崖が赤い、などが考えられている。
【オンネトー湖】おんねとーこ 〔雌阿寒岳西麓〕
オンネ・トー(老いた〈大きな〉湖)
老大人をさすオンネは、何でも知っていて親切である、親しみやすいという意味があり、アイヌ社会では敬愛の対象とされた。
【温根沼】おんねとう 〔根室〕
オンネ・トー(老いた〈大きな〉湖)
阿寒のオンネトー湖と同じ語源
【音別町】おんべつちょう 〔釧路支庁〕
ウンベツ(水悪しき川)

―か―
【樺戸】かばと 〔空知支庁・月形町〕
カパト(水草のコウホネ(河骨))
【上磯町】かみいそちょう 〔渡島支庁〕
カムイソ(美しい岩)
【上川】かみかわ 〔北海道中央部〕 **支庁・**群・**町・**盆地
アイヌは石狩川の上流部にある集落をペニ・ウン・クル・コタン(川上の人たちの村)と呼んでいた。明治2年の群名選択の際これを意訳し「上川」とした。
【上士幌町】かみしほろちょう 〔十勝支庁〕
昭和6月4月士幌村から分村して二級町村制施行,村名を上士幌村とした。
【上砂川町】かみすながわちょう 〔空知支庁〕
昭和24年1月砂川町の字上砂川町,上砂川,東奈井江,鶉の一部および歌志内町字西山の一部を合わせて分町し上砂川町とした。
【上ノ国町】かみのくにちょう 〔渡島半島西岸〕
嘉吉3年(1443)津軽十三湊の下国家安東氏の安東盛季(もりすえ)が南部氏に追われて蝦夷地に渡り、上磯町の茂別館(もべつだて)に拠点を持ち、「下ノ国」と名づけた。これに対し北にある現在の上ノ国町周辺を「上ノ国」と称するようになった。
【上富良野町】かみふらのちょう 〔上川支庁〕
同36年下富良野村(現富良野市)を分離,同時に上富良野村と改称。同39年4月二級町村制施行,村名を上富良野村とした。
【上湧別町】かみゆうべつちょう 〔網走支庁〕
ユぺ・ペツ(チョウ鮫の住む川)。
明治43年4月湧別村から分村して二級町村制施行,村名を上湧別村とした。
【神居古潭】かむいこたん 〔旭川市西部〕〔十勝支庁大樹町・歴舟川上流〕〔小樽市朝里〕
カムイ・コタン(神の居所)
アイヌは近寄りにくい峻厳な場所に神が住むと考え畏怖していた。この地名は道内に多く存在し、いずれも急峻な崖など険しい場所である。
【カムイワッカ】かむいわっか 〔知床〕
カムイ・ワッカ(神様の水)
【神恵内村】かもえないむら 後志支庁
カモイ・ナイ(美しい神秘の沢)
【狩太】かりぶと 〔後志支庁〕
真狩別川が尻別川に合流する地点をマクカリペツ・プト(真狩別川の口)といい「真狩別太」と書き、略して「狩太」となった。
 
―き―
【木古内町】きこないちょう 〔渡島支庁〕
リロ・ナイ(潮の差し入る川の意)
【北広島市】きたひろしま 〔石狩支庁〕
広島県人によって開拓されたことによる。
【北檜山町】きたひやまちょう 〔檜山支庁〕
昭和30年4月東瀬棚町と太櫓村を合併して設置したもの。
町名由来の詳細は不明
【北見】きたみ 〔北海道北東部〕 **市・**山地・**盆地・**峠・**温泉
①晴天の日にカラフト(北方)がよく見えるので「北」の文字をつけ北見とした。 ②キ・タ・プ(茅を刈り取るところ)
【北村】きたむら 〔空知支庁〕
開拓功労者北村雄治の姓をとったもの。
【喜茂別町】きもべつちょう 〔後志支庁〕
キモー・ペツ(山間の川)
【共和町】きょうわ 〔後志支庁〕
昭和30年4月発足村,小沢村,前田村3村を合わせて設置し, 同46年4月町制施行した。
町名由来の詳細は不明
【清里町】きよさとちょう 〔網走支庁〕
昭和18年4月斜里町と小清水村から分村して一級町村制施行,村名を上斜里とし、同30年8月町制施行と同時に清里町と改称。
町名由来の詳細は不明
【京極町】きょごくちょう 〔尻別支庁〕 
明治30年、旧多度津藩主・子爵京極高徳が入植し京極農場を開いたことによる。
【霧多布】きりたっぷ 〔北海道東部・浜中町〕 **半島・**岬・**港・**湿原
キ・タ・プ(茅を刈る所) 霧多布岬は霧が多いが、これは名前の原意には関係がない。
【キロロ】きろろ 〔小樽の南〕
キロル(人間が踏み固めた広い路) 

―く―
【釧路】くしろ 〔北海道南東部〕 **支庁・**群・**市・**町・**平野・**川・**湿原・**海底谷
古名:クスリ(※)
①クシュ・ル(通路) ②チ・クシ・ル(我らが通る路) ③クスリ(温泉) ④チクシ・ル(往来する路) ⑤屈斜路湖の湖口を意味するクッチャロ(咽喉(のど)もと)の転訛
※ この古名は旧釧路川にかかる久寿里橋(くすり ばし)に名残りを留めている。
【クッタルウシ】くったるうし 〔小樽市〕
クッタル・ウシ(イタドリの在る所) ※【倶多楽湖】、【虎杖浜】参照
【クッタルウス】くったるうし 〔積丹半島〕
クッタル・ウシ(イタドリの在る所) ※【倶多楽湖】、【虎杖浜】参照
【クッタルシ】くったるし 〔日高支庁・新冠町〕
クッタル・シ(イタドリの在る所) ※【倶多楽湖】、【虎杖浜】参照
【クッタルシナイ】くったるしない 〔十勝支庁・本別町〕
クッタル・シ・ナイ(イタドリの在る川) ※【倶多楽湖】、【虎杖浜】参照
【倶多楽湖】くったらこ 〔胆振支庁・白老町〕
白老町西端の虎杖浜(こじょうはま)はかつてクッタルウスといい、これはクッタル・ウシ(イタドリ(虎杖)の群生する所)の転訛であった。これが湖名に用いられ、クッタルウス・トー(クッタルウスの湖)となった。
【屈足】くったり 〔十勝支庁・新得町〕
クッタル(イタドリ(虎杖)) ※【倶多楽湖】、【虎杖浜】参照
【倶知安町】くっちゃんちょう 〔後志支庁〕
クチャウン・ナイ(木の枝で作った狩人の丸木小屋のある沢)
【屈斜路湖】くっしゃろこ 〔阿寒国立公園・弟子屈町〕
クッチャロ(咽喉もと)(※) 屈斜路湖から釧路川が流れ出す所のこと。ここにあった大きなコタンの名称だったのをシャモ(和人)が湖の名につけた。
※ アイヌは川に対し特別な感情を持っていて、川を人間同様の生き物と考ていた。よって川は人間と同じ部位名を持っていた。水源はペツ・キタイ(川の頭)であり中流はペツ・ラントム(川の胸)であり、川口はペツ・オ(川の尻)である。また支流はペツ・アウ(川の腕)で曲がり角はシトッコ(ひじ)、幾重にも曲がりくねったところはカンカン(小腸)である。
【クッチャロ湖】くっちゃろこ 〔浜頓別町〕
クッチャロ(咽喉もと) 屈斜路湖と同義
【倶知安】くっちゃん 〔後志支庁・支庁所在地、羊蹄山麓〕 **町、**盆地、**峠
①クチャ・アン・ナイ(狩小屋のある川・沢) ②クッ・サム・ウン・ペツ(岩崖のかたわらを流れる川) ③クッ・シャン・イ(岩崖を下るもの〈川〉)
【国後島】くなしりとう 〔北方領土〕
キナ・シリ(草の島)
【熊石町】くまいしちょう 〔檜山支庁〕
クマウ・シ(魚干しざおのある所)から出たもの。
【栗沢町】くりさわちょう 〔空知支庁〕
マム・オ・ナイ(クリの多い沢)の訳語。
【栗山町】くりやまちょう 〔空知支庁〕
付近にクリの木が多かったので,この名が出たといわれる。
【黒松内】くろまつない 〔後志支庁南部〕 **町・**川
クル・マツ・ナイ(和人の女性のいる沢)
【訓子府町】くんねっぷちょう 〔網走支庁〕
クンネプ(黒い所)

―け―
【剣淵町】けんぶちちょう 〔上川支庁〕
ケネニ・ペツ(ハンノキの多い川)

―こ―
【鴻之舞】こうのまい 〔紋別市南部・藻鼈川上流〕 **鉱山
ク・オマ・イ(仕掛弓のある所) 狩猟場として利用されていたらしい
【幸福】こうふく 〔旧広尾線の駅名〕
古名:サチナイ
現幸福町は、かつて地名としてサッ・ナイ(乾いた川)に由来し「幸震(さつない)」の字があてられた(地震を古語で「ない」といった)。昭和38年、幸震の「幸」と入植者の多かった福井県の「福」を合わせて幸福町と改名した。
【声問川】こえといがわ 〔宗谷支庁・稚内〕
旧名:シ・ペツ(大きい川)
コイ・トイェ(波が崩す) 河口の地名
【小清水町】こしみずちょう 〔網走支庁〕
大正8年4月斜里村から分村して二級町村制施行,村名を小清水村とした。
町名由来の詳細は不明
【虎杖浜】こじょうはま 〔胆振支庁・白老町西端〕
クッタル・ウシ(イタドリ(虎杖)の群生する所)の意訳。
クッタルは「伸びているもの」の意でイタドリ(虎杖)のことをさす。イタドリはアイヌの食用や住居の用材として欠かせないものであった。
【琴似】ことに 〔札幌市西区〕
①コツネ・イ(低い所) ②コ・ツ・ネ・イ(窪んだ所)(※)
※もとは現在の札幌の都心部をさし、伏流水が泉池となって湧き出す扇状地下端部(現在の道庁付近)をコトニと呼んだ。市名がサッポロとなったためコトニの地名は大きく西に移され、現在の札幌市内西区の地名になった。
 
―さ―
【札内川】さつないがわ 〔帯広〕
サッ・ナイ(乾いた川)
【札幌】さっぽろ 〔北海道庁、石狩支庁所在地〕 **市・**群・**岳
サッ・ポロ(乾いた大きな〈もの〉)
末尾が省略された形であり、省略されたものとして川、陸地、山などの説がある。このうち「川」説が有力でありサッポロ・ペツ(乾いた大きな川)が原形で、市内を縦貫する豊平川(札幌川)をさす呼称であったらしい。
【様似】さまに 〔日高支庁〕 **群・**町・**川
古名:シャマニ
①エサマ・ニ(カワウソのいる所) または エサマン・ペツ(カワウソの川) ②サン・マウ・ニ(朽ち木のある所) ③シャン・マニ(高山のある所) ④アイヌの女性サンオマウニの名に由来 ⑤川尻が海に向かって横に流れているので、サマニ(横になっている)
【更別村】さらべつちょう 〔十勝支庁〕
サラ・ペツ(アシ原の川)
【沙流川】さるかわ 〔日高〕
語源は斜里(しゃり)と同じ 【斜里】参照
【猿払】さるふつ 〔宗谷支庁〕 **村・**川
①サラ・プツ(カヤのはえた河口) ②サル・ペツ(葦原の川)
【サロベツ】さろべつ 〔宗谷支庁・サロベツ〕 **原野・**川
サル・ペツ(葦原の川)
【佐呂間】さろま 〔網走支庁〕 **町・**湖
サル・オマ・ペツ(葦原のなかの川)
【砂原町】さわらちょう 〔渡島支庁〕
シャラ(やや広い砂州)
【珊内川】さんないがわ 〔稚内市・宗谷岬〕
サン・ナイ(浜へ下る川)
 
―し―
【鹿追町】しかおいちょう 〔十勝支庁〕
クテク・ウシ(鹿を追う)を意訳
【鹿部町】しかべちょう 〔渡島支庁〕
シケル・ペ(黄蘖(きはだ)木のあるところ)
【然別】しかりべつ 〔十勝支庁北部〕 **湖・**川・**峡・**山
シ・カリ・ペツ(自分を回す川)
然別山を水源とする然別川の本流は大きく半円形を描いて流れ、然別湖から流れ出すトウマペツ川(ト・オマ・ペツ(湖に入る川))に合流する。語源はこの然別川本流の流形に由来する。
【色丹島】しこたんとう 〔北方領土〕
シ・コタン(大きな村)
【支笏湖】しこつこ 〔支笏洞爺国立公園内〕
シ・コツ(大きな窪地)
支笏湖から流れ出る谷間を流れる千歳川を示す語。キムン・ト(山の湖)とも呼ばれた
【静内】しずない 〔日高支庁〕 **群・**町・**川
①アイヌの祖神にあたる女性が住んでいたという伝説から、シ・ュツ・ナイ(曾祖母の沢) ②シュツ・ナイ(ブドウの沢) ③シュツ・ナイ(麓の川) ④シャチ・ナイ(広い川のある沢)
シズナイの地名は現在の静内市街より東に10km東の小さな入り江(元静内)が発祥地
【標茶町】しべちゃちょう 〔釧路支庁〕
シペッチャ(大川端の丘陵)
【士別市】しべつし 〔上川支庁〕
シ・ペツ(本流、大きな川) 名寄川に対して手塩川本流のこと
【標津町】しべつちょう 〔根室支庁〕
シ・ペツ(大きな川またはサケのいるところ)
【士幌町】しほろちょう 〔十勝支庁〕
シ・ホロ(広大な土地)
【島牧村】しままきむら 〔後志支庁〕
シュマコマキ(背後に岩がある)
【清水町】しみずちょう 〔十勝支庁〕
ペケレ・ペツ(明るい川)
【占冠村】しむかっぷむら 〔上川支庁〕
シモカプ(たいへん静かで平和な上流の所)
【下川町】しもかわちょう 〔上川支庁〕
パンケ・ヌカナン(下川)の意訳
【積丹】しゃこたん 〔小樽西方の半島一帯〕 **半島・**群・**町・**川・**岬・**岳
シャック・コタン(夏の集落)
ニシン漁の始まる春から夏にかけてアイヌが番屋を居所としたことによる
【写万部山】しゃまんべさん(やま) 〔長万部〕
山腹にカレイの形をした残雪がみられすことから、シャマンベ・ヌプリ(カレイの山)
【斜里】しゃり 〔網走〕 **群・**町・**岳・**川・**平野・**峠
①サル・イ(葦の生えている所〈湿原〉) ②サル・ウン・ペツ(湿原にある川)
※日高の沙流(さる)も同じ語源で、沙流をマツネ・サル(女性のサル)、斜里をピンネ・サル(男性のサル)と呼んで区別したという。
【朱太川】しゅぶとがわ 〔寿都町・黒松内町〕
シュプキ・プト(ヨシの稈のある河口)
【朱鞠内】しゅまりない 〔名寄市の西〕
①シュマリ・ナイ(キツネの沢) ②スマ・ルイ・ナイ(石の多い沢)
【渚滑川】しょこつがわ 〔滝上町・紋別市〕
ソー・コツ(滝のくぼみ)
【初山別村】しょさんべつむら 〔留萌支庁〕
シュサン・ペツ(小さい沢のある川)
【定山渓】じょうざんけい 〔札幌市南部〕
慶応2年(1866)、美濃国の禅僧・美泉定山が豊平川上流の河畔に湧く温泉を訪れ、湯守りとなったことに由来する。
【白老】しらおい 〔胆振支庁〕 **群・**町・**川・**岳
①シラウ・オ・イ(アブの多い所) ②満潮のときに白老川に海水が上がるところから、シララ・オ・イ(潮の多い所)
【白滝村】しらたきむら 〔網走支庁〕
村内にある滝の名称をとったもの。
【白糠】しらぬか 〔釧路市の西〕 **群・**町・**丘陵
①シララ・イカ(潮が越える) ②シラリ・カ(岩礁にあふれる)
オクネップ川の河口付近にトドの形をした大岩があり、満潮時には波しぶきがこの大岩をまたいだことに由来
【知内】しりうち 〔渡島支庁〕 **町・**川
チリオチ(鳥のいる所)が転化したもので,昔この付近はタカの名所であったといわれる。
【後志】しりべし 〔北海道南西部〕 **支庁
シリ・ペツ(大きな川、または高い山の川)
尻別川(しりべつ がわ)の由来と同じ。
【尻別川】しりべつがわ
シリ・ペツ(大きな川、または高い山の川)
【知床】しれとこ 〔北海道東部〕〔礼文島〕〔白老町〕 **半島・**岬・**岳・**五湖
①シレ・トコ(地の果て) ②シリ・エトク(大地の突き出た所) 岬の意
【白石】しろいし 〔札幌〕
旧仙台藩伊達家の支藩、白石城主片倉小十郎邦憲が旧家臣団を率いて入植したことによる。
【新篠津村】しんしのつむら 〔石狩支庁〕
明治29年札幌郡篠津村から分離し,新篠津村と称して戸長役場を置き,大正4年4月二級町村制施行。
【新得町】しんとくちょう 〔十勝支庁〕
シントコ(山の肩(端))
【新十津川町】しんとつかわちょう 〔空知支庁・石狩川右岸〕 
奈良南部の十津川郷の村民が入植したことから、母村にちなみ新十津川とした。
 
―す―
【薄野】すすきの 〔札幌〕
①この一帯がススキの野原であったことに由来 ②区画を設定した工事監事の薄井竜之の名をとった
【寿都町】すっつちょう 〔後志支庁〕
シュプキ・ペツ(ヨシの稈のある川)から転化したもの。
【砂川市】すながわし 〔空知〕
歌志内の語源であるオタ・ウシ・ナイ(砂の多い川)の意訳
 
―せ―
【瀬棚町】せたなちょう 〔檜山支庁〕
古名:セタルペシュペナイ(犬が泳ぎ渡る川(現在の利別川))
「セタルナイ」となまり,次に「セタナイ」と省略され,さらに現名のセタナ(瀬棚)となった。
【銭函】ぜにばこ 〔小樽市東端〕 **川・**峠・**海岸
ニシンの豊漁で莫大な利益をあげたことに由来する。
 
―そ―
【層雲峡】そううんきょう 〔北海道中央・大雪山国立公園内〕
ソー・ウン・ペツ(滝の多い川)
本来は石狩川の東支流、双雲別川(そううんべつがわ)をさす地名であったが、上流に温泉が発見され上流の大峡谷などが観光地として知られるようになった。大正10年この地を訪れた随筆家・大町桂月が層雲峡と名づけた。
【壮瞥町】そうべつちょう 〔胆振支庁〕
ソー・ペツ(滝の川)
【宗谷】そうや 〔北海道北部〕 **支庁・**群・**海峡・**岬・**湾・**丘陵
ソー・ヤ(磯岩の岸)
かつては岸の海中に岩礁があり船の接岸に危険であったためウェン・トマリ(悪い泊)と呼ばれたが、この名前を嫌い江戸時代初期に海中に在る岩島の名(ソー・ヤ)をとって港の名前を改めた。
【空知】そらち 〔北海道中央部〕 **支庁・**群・**川・**山地
ソー・ラプチ・ペッ(滝のたくさん落ちている川)
 
―た―
【大樹町】たいきちょう 〔十勝支庁〕
タイキ・ウシ(ノミの多い所)
【大成町】たいせいちょう 〔檜山支庁〕
昭和30年7月久遠村および貝取澗村を合併して大成村を設置し,同41年10月町制を施行した。
町名由来の詳細は不明
【大雪山】たいせつざん 〔北海道中央部〕 **国立公園
古名:ヌタクカウシュベ[ヌタプ・カ・ウシ・ペ(川が湾曲している所の内部にいつのいるもの〈山〉)]
旭岳(標高2290m)を主峰とする「北海道の屋根」といわれる火山群の総称。北海道第一の雪の大山の意。
【鷹栖町】たかすちょう 〔上川支庁〕
チカップニ(大鳥のすむ巣のある所)を意訳したもので,巨鳥タカを選んで鷹栖とした。
【滝川】たきかわ 〔空知〕
空知川の河口に位置することから空知の語源(ソー・ラプチ・ペ(滝のたくさん落ちている川))を意訳した。
【滝上町】たきのうえちょう 〔網走支庁〕
渚滑川の各所に滝があり,市街がその上手にあるため滝上と命名された。
【立待岬】たちまちみさき 〔函館市南部〕
ヨコ・ウシ・イ(獲物をじっと待ち構えている所)の意訳
【伊達】だて 〔室蘭の北東〕 **市
明治3年、仙台藩伊達氏一門の伊達邦茂が家臣とともに移住・開拓したことから、家名をもって地名とした。
【樽前】たるまえ 〔苫小牧〕 **山・**川
タオル・オマ・イ(高い岸のあるもの〈川〉)
【端野町】たんのちょう 〔北見市〕
ヌプ・ケン・ウシ(野の端)の意訳
 
―ち―
【地球岬】ちきゅうみさき 〔室蘭市南部〕
チ・ケ・プ(自分を削ったもの) の転訛
【秩父別町】ちっぷべつちょう 〔空知支庁〕
チックシ・ベツ(通路のある川)
【千歳】ちとせ 〔中央部〕 **市・**川・**大地
かつてこの一帯はシ・コツ(大きな窪地)と呼ばれ千歳川をさす語であったが、音が「死骨」に通じることから忌み嫌われ、文政2年(1819)周辺に鶴が多く生息することから「千歳」に改められた。
【チプタウシナイ川】ちぷたうしないかわ 〔今金町西〕
流域に船材に適した巨木が多く、アイヌがそれで船を作ったことから、チプ・タ・ウシ・ナイ(いつも舟材をとる沢〈川〉)
【チミケップ湖】ちみけっぷこ 〔北見・津別町〕
チミケプ(山水の崖を破って流水するところ)
【忠別川】ちゅうべつがわ 〔中央部・旭川〕
東の山岳地帯から流れ出るため ①チュプ・ペツ(日の川) ②チュプカ・ペツ(東の川)、
③チュウ・ペツ(波立つ川) ④夏に涸れる川が秋になって水量を増すから、または「チュク・チェプ(秋鮭)が溯る川(ペツ)」から チュク・ペツ(秋の川)
【忠類】ちゅうるい 〔十勝支庁〕 **村・**川
チュルイ(急流)

―つ―
【月形町】つきがたちょう 〔空知支庁〕
古名:樺戸
北海道初の集治監である樺戸集治監の初代典獄・内務省奏任御用掛の月形潔(つきがたきよし)の村開発の功をたたえ月形村と命名された。
【月寒】つきさむ 〔札幌〕 **丘陵・**川
チ・キサ・プ(我らがこするところ) 
アイヌが木片をうがち火をおこしたことに由来する。
【津別町】つべつちょう 〔網走支庁〕
ツペツ(山の出ばなを通っている川)
【鶴居村】つるいむら 〔釧路支庁〕
タンチョウの生息地であるのにちなんだもの。

―て―
【手稲】ていね 〔札幌〕 **区・**山
発寒川(はつさむがわ)の川があたりに散らばって湿地を形成したところから、①テイネ・イ(濡れている所) または②テイネ・ニタツ(濡れている谷地)
【天売島】てうりとう 〔留萌支庁・羽幌町〕
テルレ・シリ(削られた島)
断崖絶壁に囲まれた島の形状に由来する。
【天塩】てしお 〔北海道西北部〕 **群・**町・**川・**平野・**山地・**岳
テシ・ウニ(テシ=川で魚を獲る梁、ウニ=在る)
【弟子屈】てしかが 〔釧路支庁北部〕 **町・**温泉
テシ・カ・カ(岩盤の岸の上)(※)
※テシは川で魚を捕る梁のことであるが、地名としては岩盤が梁のように川を横切っている地形をいうことが多い。
 
―と―
【戸井町】といちょう 〔渡島支庁〕
チイトイベツ(食う土のある所)
【当別】とうべつ 〔石狩支庁〕 **町・**川
トウ・ペツ(沼から来る川)
【当麻町】とうまちょう 〔上川支庁〕
トウオロ(沼(湿地)の中)
【トウマペツ川】とうまぺつがわ 〔十勝支庁北部・然別〕
ト・オマ・ペツ(湖に入る川)
然別湖から流れ出すことに由来。
【洞爺湖】とうやこ 〔支笏洞爺国立公園内〕
トー・ヤ(湖の岸、湖の丘)
通常はただトー(湖)とのみ称した。円形の湖の周囲に緑に覆われ緩やかな丘陵が連なることに由来する。
【十勝】とかち 〔南部〕 **支庁・**群・**平野・**川・**岳・**港
①夏に沼の傍を通る路が草深くなるので、火をつけて焼き枯らしたところから、ト・カ・プ・チ(沼のあたりが枯れる所) ②乳房のような双丘の間から十勝川が流れ出る所から、トカプ・ウシ(乳のある所) ③凶暴なトカチ・アイヌを憎んで他のアイヌがトカプチ(幽霊)と呼んだことから
【徳志別川】とくしべつがわ 〔宗谷支庁・枝幸町〕
トプ・ウシ・ペツ(竹・熊笹のある川)
【常呂】ところ 〔東部〕 **群・**町・**川
①トー・コロ・ペツ(湖をもつ川) ②トゥ・コロ(山崎をもつ〈所〉)
【利別川】としべつがわ 〔今金町・瀬棚町〕
トゥシ・ペツ(縄(蛇)の川)
【椴法華村】とどほっけむら 〔渡島半島南〕
トー・ポケ(岬の陰)
【苫小牧】とまこまい 〔胆振支庁〕 **市
有珠川の下流域をさすト・マクマナイ(沼のマクマナイ)の転訛
かつて有珠川は河口付近で大小の沼を形成し、東に並流する苫小牧川に合流していた。この苫小牧川をマク・オマ・ナイ(山奥に入っていく川)がつづまってマコマナイといい、有珠川をト・マクマナイ(沼のマクマナイ)と呼んでいた。
【苫前町】とままえちょう 〔留萌支庁〕
トマ・オマ・ナイ(エゾエンゴサクのある所)
【トマム】とまむ 〔上川支庁〕
トマム(湿地、泥炭地、沼地)
【泊村】とまりむら 〔後志支庁〕
トマリ(入り江)
【トムラウシ】とむらうし 〔十勝支庁・新得町〕 **山・**川・**温泉
トンラ・ウシ(水草の生えているもの〈川〉) トンラは水草の一種といわれる。
【豊浦町】とようらちょう 〔胆振支庁〕
農,海産物がともに豊富で,かつ内浦湾に面しているのでこのように名付けられた。
【豊頃町】とよころちょう 〔十勝支庁〕
トヨコロ(無人)
【豊富町】とよとみちょう 〔宗谷支庁〕
エペ・コロ・ベツ(なんでも豊富にある川)を意訳したもの。
【豊平】とよひら 〔札幌〕 **区、**川
トイ・ピラ(崩れる崖)
豊平川の東岸がしばしば流水によって崩れ落ちたことに由来する
【頓別川】とんべつがわ 〔宗谷支庁・浜頓別〕
トー・ウン・ペツ(沼に行く(入る)川)

―な―
【奈井江町】ないえちょう 〔空知〕
ナイ(川、沢)またはナエイ(谷川)の転訛
【中札内村】なかさつないむら 〔十勝支庁〕
サチナイ(かわいた川)。札内川の中流に位置するので中を冠した。
【中標津町】なかしべつちょう 〔根室支庁〕
昭和21年標津村から分村して中標津村を設置。
【中頓別町】なかとんべつちょう 〔宗谷支庁〕
大正10年4月頓別村(現浜頓別町)から分村して二級町村制施行,村名を中頓別村とした。
【長沼町】ながぬまちょう 〔空知支庁南部〕 
旧夕張川筋にあった大沼、タンネ・トー(長い沼)の意訳。この沼は昭和52年、圃場整備によって埋め立てられた。
【中川町】なかがわちょう 〔上川支庁〕
明治40年下名寄村戸長役場の管轄に属し、同45年これから分離し中川村戸長役場を設置。昭和39年5月町制施行。
町名由来の詳細は不明
【中富良野町】なかふらのちょう 〔上川支庁〕
大正6年4月上富良野村から分村して二級町村制施行,村名を中富良野村とした。
【七飯町】ななえちょう 〔渡島支庁〕
ナムナイ(冷たい川)
【名寄】なよろ 〔上川支庁北部〕 **市・**盆地・**川
名寄川が天塩川に注ぐ所に位置することからナイ・オロ・プト(川の所の口)またはナイ・プト(川の口)と呼ばれ、これがナヨロに転訛した
【南幌町】なんぽろちょう 〔空知支庁〕
明治26年岩見沢ほか3村戸長役場の管轄に属した。
同28年幌向村戸長役場を設置。
昭和37年5月町制施行,同時に南幌町と改称。
町名由来の詳細は不明

―に―
【新冠】にいかっぷ 〔日高支庁〕 **群・**町・**川
ニ・カプ(楡の皮)
【仁木町】にきちょう 〔後志支庁〕
開拓の祖仁木竹吉の姓をとったもの。
【西興部村】にしおこっぺむら 〔網走支庁〕
大正14年1月興部村から分村して二級町村制施行,村名を西興部村とした。
【西別川】にしべつがわ 〔別海町〕
(チェプ・)ヌー・ウシ・ペツ((魚[鮭]の)豊かな川、豊漁の川)
鮭:チェプ、または魚:チ・エ・プ(=われわれが・食べる・もの)が省略されている。
【ニセコ】にせこ 〔後志支庁〕 **町・**高原
ニセイ・コ・アン・ペツ(断崖に向かっている川)
 
―ぬ―
【ヌプルトムラウシ川】ぬぷるとむらうしかわ 〔十勝支庁・新得町〕
ヌプル・トムラウシ(山のトムラウシ) トムラウシ川の東
【沼田町】ぬまたちょう 〔空知支庁〕
開拓功労者沼田喜三郎の姓をとったもの。
 
―ね―
【根室】ねむろ 〔北海道東部〕 **支庁・**市・**半島・**海峡・**平野・**湾
①ニ・ムイ(木の箕)が訛ってネモロ ②ニム・オロ(樹木の繁茂するところ) ③ニ・ム・オロ(流木の集まるところ) ④ニイ・モ・オロ(樹木のある静かなところ) ⑤メム・オロ・ペツ(湧壷のある川)
 
―の―
【納沙布岬】のさっぷみさき 〔根室半島〕
ノッ・シャム(岬のかたわら) 岬のそばにあったコタン(集落)の名であった。
稚内の野寒布(のしゃっぷ)とまったく同じ語源
【野寒布】のしゃっぷ 〔稚内〕 **岬
ノッ・シャム(岬のかたわら) 岬のそばにあったコタン(集落)の名であった。
根室の納沙布岬(のさっぷみさき)とまったく同じ語源
【野付】のつけ 〔知床半島と根室半島の中間部〕 **群・**半島・**崎・**湾・**水道
ノツ・ケウ(下あごの骨)の転訛で野付半島の形からつけられた
【登別】のぼりべつ 〔支笏洞爺国立公園の西部〕 **市・**温泉・**岳
①登別川に温泉水が流れ込んでいたことから、ヌプル・ペツ(水の色の濃い川) ②ヌプル・ペツ(霊験あらたかな川)
 
―は―
【函館】はこだて 〔東南部〕 **市・**湾・**山・**平野
①この地に移り住んだ武将の一人、河野政通の築いた館(たて)が四角い箱型であったとこから箱館と名づけられた。 また②その館をハク・シャチ(浅い箱)呼んだことに由来するともいう。
【花咲岬】はなさきみさき 〔根室〕
かつてはポロ・ノツ(大きな岬)といった。アイヌ語でノツは「突き出た所」が原義で、人体では「下あご」「鼻先」を意味し地名では「岬」を意味する。このノツを「鼻先」と訳し「花咲」の字をあてた
【歯舞】はぼまい 〔北方領土〕 **島・**諸島
アプ・オマ・イ(流氷の中にあるもの(島))
歯舞諸島は水晶島、秋勇留島(あきゆりとう)、勇留島(ゆりとう)、志発島(しぼつとう)、多楽島(たらくとう)の五島をいう
【羽幌町】はぼろちょう 〔留萌支庁〕
ハボロ・ペツ(広大な川の流域)
【浜頓別町】はまとんべつちょう 〔宗谷支庁〕
トー・ウン・ペツ(沼に行く(入る)川)
【浜中町】はまなかちょう 〔釧路支庁東部〕
オタ・ノシケ(砂浜の中央)の意訳
遠浅の海岸が続くことによる。大楽毛(おたのしけ)と同じ語源。
【浜益】はまます 〔留萌支庁南部〕 **村
かつてはマシケ(増毛)といい江戸後期に運上屋(会所)がポロ・トマリ(大きな泊地:現在の増毛)に移されたためハママシケ(浜益毛)と呼んで区別し、下略して「浜益」となった
【早来町】はやきた 〔胆振支庁〕
①東に山越えすると厚真地方に通うことのできる川があり、これをサック・ルペシペ(夏に越える沢道)、またはサック・ル・ペツ(夏の道の川)といい、下略してサックルに「早来(さつくる)」の字をあてた。後に読みにくいのでハヤキタと呼ぶようになった。 ②ハイ・キ・ト(イラクサ(カヤ)のある沼)
 
―ひ―
【美瑛】びえい 〔富良野〕 **町・**川
ピイエ(濁った)の転訛
硫黄が富良野川の川水に入り込み濁っていたことから
【東神楽町】ひがしかぐらちょう 〔上川支庁〕
ヘッチェ・ウシ(神々が集まって楽しく遊ぶところ)を意訳したもので,当地の伝説にちなんで名付けたもの。神楽村から分村のさい東を冠した。
【東川町】ひがしがわちょう 〔旭川〕
忠別川の語源であるチュプカ・ペツ(東の川)の意訳
【東藻琴村】ひがしもことむら 〔網走支庁〕
モコト(眠っている沼)
【日高】ひだか 〔北海道南部〕 **支庁・**町・**山脈・**峠
松浦武四郎の建議により、古典に見える「日高見国」からの引用であり、南向きで早くに暖かくなるので「日のよく当たる」意で日高と名づけたとされている。この土地はアイヌのコタン(集落)が多く、道内アイヌの四割を占める聖地であった。
【比布町】ぴっぷちょう 〔上川支庁〕
ピピ(ピプ)(沼の多い所)。
【美唄】びばい 〔中央部〕 **市・**川・**原野
ピパ・オ・イ(カラス貝の多く生息する所)
【美々川】びびがわ 〔千歳〕
支流が多く曲がりくねっていた事から、ペツ・ペツ(川また川)。
当て字の「美々」は、明治天皇が御前水の湧水をのみ「何と美しい水だ」と賞賛した事から付いたという説がある。
【美深町】びふかちょう 〔上川支庁〕
ピウカ(石の多い河床)
【美幌】びほろ 〔網走支庁〕 **町・**峠・**川
美幌川に多くの清流が合流して水量が豊富であることから、ペ・ポロ(水の多い所)
【檜山】ひやま 〔渡島半島西部〕 **支庁・**群
渡島半島の山林には良質のアスナロ(ヒバ)が繁茂しており、アスナロは俗に檜(ひのき)といい、その山を檜山といった。
【平取町】びらとりちょう 〔日高支庁・沙流川流域〕
平取川の流域は険しい崖がつづき、パンケ・ピラ・ウトゥル・ナイ(下流の崖の間の川)とぺンケ・ピラ・ウトゥル・ナイ(上流の崖の間の川)の二つの川が注いでいる。昔はこの両川の間にアイヌのコタン(集落)があったので、ここをピラ・ウトゥル(崖の間)といい、これが訛ってビラトリとなった。
【広尾町】ひろおちょう 〔十勝支庁〕
ヒルイ(ころがるトイシ)
 
―ふ―
【風連】ふうれん 〔上川支庁〕 **町・**川
フーレペツ(赤い川)
【深川】ふかがわ 〔中央部・旭川の西〕 **市
古名:芽生(めむ)
①メム(湧き水(がたまってできた池))を「深く清い水の流れている所」と解釈し、それを意訳した ②雨龍川の支流で、北部を流れる大鳳川(おおほうがわ)をオーホ・ナイ(深い川)といったので、これを意訳した
【福島町】ふくしまちょう 〔渡島支庁〕
古くはアイヌ語で「オリカナイ」または「鹿追」「いるかない」などと呼んで一定していなかったが,寛永元年月崎神社の神託により福島村と改称した。
【富良野】ふらの 〔中央〕 **市・**盆地・**川・**岳
フラ・ヌ・イ(臭気をもつもの〈川〉)
十勝岳から流れ出る富良野川に硫黄が溶けていることから
【古平町】ふるびらちょう 〔後志支庁〕
フィーピラ(赤いガケ)

―へ―
【別海町】べっかいちょう 〔根室支庁〕
ペッ・カイエ(折れ曲がった川)

【別寒牛別川】べかんべうしがわ 〔厚岸町〕
ペカンペ・ウシ(ひしの実の多い)

―ほ―
【北竜町】ほくりゅうちょう 〔空知支庁〕
明治32年雨竜村から分離して北竜村戸長役場を設置。
【穂別町】ほべつちょう 〔胆振支庁〕
ポン・ペツ(小さい川)
【幌加内町】ほろかないちょう 〔空知支庁〕
ホロカ・ナイ(逆流する川)
【幌延町】ほろのべちょう 〔留萌支庁〕
ホロノブ(大平原)
【ポントムラウシ川】ぽんとむらうしかわ 〔十勝支庁・新得町〕
ポン・トムラウシ(小さなトムラウシ) トムラウシ川の西
【本別町】ほんべつちょう 〔十勝支庁〕
ポン・ベツ(小さい川)

―ま―
【摩周湖】ましゅうこ 〔阿寒国立公園〕
古名:カムイ・トー(神の湖)、キン・タ・アン・カムイ・トー(山の中にある神の湖)
①マシ・ウン・トー(カモメの多い湖)(※) ②見失った孫を捜して、疲れきったお婆さんが湖の中島になったという伝説から、マ・シュ(小島の祖母)(※)
※①は内陸にあることから疑問視されており、また②も「祖母」は「シュト」なので、これにも疑問がある。
【幕別町】まくべつちょう 〔十勝支庁〕
マクン・ベツ(山ぎわを流れる川)
【真狩村】まっかりむら 〔後志支庁・ニセコ〕
マク・カリ・ペツ(山の奥を回る川)
【真狩別川】まっかりべつがわ 〔ニセコ〕
マク・カリ・ペツ(山の奥を回る川)
【増毛】ましけ 〔留萌支庁南部〕 **群・**町・**山地
①マシュケ・ニ(〈漁獲の〉多い所) ②マシ・ケ(カモメの多い所)
①、②ともに漁獲が豊富であることに関連する。かつてはポロ・トマリ(大きな泊地)といい「幌泊」と書いた
【松前】まつまえ 〔渡島半島南西端〕 **群・**町・**半島・**湾
①マツ・オマ・ナイ(婦人のいる沢) ②マツ・オマ・イ(婦人のいる所) ③マツ・オマ・ナイ(山崩れの所、半島) ④マック・オマ・ナイ(山のうしろにある川)
松前は古く北海道の代名詞であり、行商やニシン漁のため北海道へ渡ることを「松前渡(まつまえわたり)」といい、初夏の季語とされた。
【丸瀬布町】まるせっぷちょう 〔網走支庁〕
マウレセプ(3つの川の集まる広い所)

―み―
【三笠市】みかさし 〔石狩炭田の中央部〕
明治15年、同地に空知集治監が設置され、囚人たちはおもに幌内炭坑の採炭夫に使役された。集治監のそばにある山を、奈良県出身の囚人が故郷の三笠山に似ていることから、三笠山と名づけた。
【三石】みついし 〔日高支庁〕 **群・**町・**川
①太古の昔、神が鯨の肉を串に刺して焼いたところ串が飛び跳ねて石になったとの伝説から、イ・マ・ニツ・ウシ(それ〈魚〉を焼く串がある所)といい、この前半が略されてミツイシになった ②岩の形がニツシ(樺の皮の桶)に似ているから ③ピット・ウシ(小石の多い地)
【南茅部町】みなみかやべちょう 〔渡島支庁〕
カヤ・ウン・ベシュ(帆のある崖)
【南富良野町】みなみふらのちょう 〔上川支庁〕
明治41年下富良野村戸長役場の管轄から分離し,南富良野ほか1村戸長役場を設置。

―む―
【鵡川町】むかわちょう 〔胆振支庁〕
ムカッ・ペツ(塞がる川、川じりが絶えず移動する所)
【室蘭】むろらん 〔胆振支庁・支庁所在地〕 **市
古名:モロラン
モ・ルエラニ(ゆるやかに下る道、小さな坂)
 
―め―
【目梨】めなし 〔根室市〕 **群
メナシ(東の風、東の土地)
【目梨泊】めなしとまり 〔北見江差〕
メナシ・トマリ(東風を避ける避難所)
【目無泊】めなしとまり 〔小樽〕
メナシ・トマリ(東風を避ける避難所)
【メナシベツ川】めなしべつがわ 〔道内に多数〕
メナシ・ペツ(東の川)
【女満別】めまんべつ 〔網走市の南〕 **町・**川・**台地
メム・アン・ペツ(湧きつぼのある川)
網走湖に注ぐ女満別川が湿原を形成し、そこに泉が湧いていたことに由来する。
【芽室町】めむろちょう 〔十勝支庁〕
メム・オロ(池から流れている川)

―も―
【藻岩山】もいわやま 〔札幌〕
モ・イワ(小さな山〈丘〉)
元来は南接する現在の円山をさし、開拓半官岩村道俊が山容をみて円山と命名したため隣の山にモイワの名を移した。現在の藻岩山は本来、インカル・ウシ・ペ(いつも眺める所)といい、アイヌが物見に使っていた。山頂からは石狩平野を一望することができる。
【妹背牛町】もせうしちょう 〔空知支庁〕
モセユーセ(イラ草のある所)
【藻鼈川】もべつがわ 〔紋別〕
モ・ペツ(静かな川)
【森町】もりちょう 〔渡島支庁〕
オニ・ウシ(樹木の茂った所)を意訳したもの。
【紋別】もんべつ 〔北海道東部・北見〕 **群・**市
紋別市街地の東を流れる藻鼈川(もべつがわ)の語源であるモ・ペツ(静かな川)が転訛して河口付近の地名となった
【門別町】もんべつちょう 〔日高支庁〕
モ・ペッ(静かな川)

―や―
【焼尻島】やぎしりとう 〔留萌支庁・羽幌町〕
エハンケ・シリ(陸に近い島)の転訛。
隣接する天売島より陸に近いことに由来する。
【八雲】やくも 〔渡島支庁〕 **町・**平野
明治14年、旧尾張藩主・徳川慶勝が「古事記」のスサノオノミコトの古歌、「八雲立つ出雲八重垣つまりこもり八重垣つくるその八重垣を」からとり「八雲」と命名。
【矢不来】やふらい 〔北海道南部・上磯町〕 **川
ヤンゲ・ナイ(揚げる川)
船から荷物を陸揚げしたことに由来する。
【止若内】やむわっかない 〔天塩川西支流〕
ヤム・ワッカ・ナイ(冷たい水の川)

―ゆ―
【ユートムラウシ川】ゆーとむらうしかわ 〔十勝支庁・新得町〕
ユー・トムラウシ(温泉のトムラウシ川) トムラウシの温泉地にある
【夕張】ゆうばり 〔石狩炭田南部〕 **群・**市・**川・**山地・**岳
①ユー・パロ(温泉(鉱泉)の口) ②イ・パル(それ〈千歳方面〉の口) ③イ・ウ・バ・リ(高い峰の山々)
【勇払】ゆうふつ
古名:いぶつ、いふつ
①イ・プツ(それ〈千歳〉への口) ②ユー・プツ(温泉の〈川の〉口)
【湧別】ゆうべつ 〔網走支庁〕 **町・**川
ユペ・ペツ(チョウ鮫のいる川)
【遊楽部川】ゆうらっぷがわ 〔渡島支庁・八雲町〕
ユー・ラッ・ペツ(温泉の下る川)
【由仁町】ゆに 〔空知支庁〕
ユウンニ(温泉のある所)

―よ―
【余市】よいち 〔積丹半島東部〕 **群・**町・**川・**岳・**港
①イ・オ・チ(それ〈ヘビ〉が群れている所)(※)  ②ユ・オ・チ(温泉のたくさんある所)
※アイヌ社会ではクマやヘビは神の使者として畏怖されていたので、直接口に出すのを憚ってイ(それ)と表現した
【羊蹄山】ようていざん 〔北海道西南部〕
シリ・ペツ(尻別川)が羊蹄山の北麓を大きく迂回するので、山の名前もシリペツ山といった。「日本書紀」に蝦夷征討の後「後方羊蹄(しりべつ)」に群領を置いて帰ったとの記述があり、羊蹄山は初め「後方羊蹄(山)」の字をそのまま用いてシリベツ山と呼んでいたが後に前略して音読みするようになった。かつて隣の尻別岳は前方羊蹄(山)とも記した。
 
―ら―
【雷電】らいでん 〔寿都町〕 **海岸・**温泉・**岬
①ライテム(焼けて唸る) ②ラエン・ペツ(小川) ③ライ・ニ(枯れた木)
【羅臼】らうす 〔知床半島南岸〕 **町・**川・**岳・**温泉
古名:ラウシ
①狩猟・漁猟によって獲った獣や魚を解体したことから、ラ・ウシ(獣の臓物のある所) ②ラ・ウシ・イ(低い所にあるもの〈川〉)
【蘭越町】らんこしちょう 〔後志支庁〕
ランコ・ウシ(カツラの木の多い所)から出たもので,昔はカツラの木の多かった地帯。

―り―
【陸別町】りくべつちょう 〔十勝支庁〕
リクン・ペツ(高く危ない川)
【利尻】りしり 〔稚内西方〕 **群・**(富士)町・**島・**山・**水道、**富士
リイ・シリ(高い島)
 
―る―
【留寿都町】るすつちょう 〔後志支庁〕
ル・スツ(道が山のふもとにある)
【留辺蘂町】るべしべちょう 〔網走支庁〕
プシュペ(越え下ってゆく道)
【留萌】るもい 〔北海道北西部〕 **支庁・**群・**市・**川
①ルル・モ・ペツ(潮が静かな川) ②ルル・モ・ヲツ・ペ(潮が静かに入る所) ③ルル(・パ)・モイ・ペツ(上手の湾の川)
①、②は満潮になると潮が川に入り込むことに由来する
 
―れ―
【礼文島】れぶんとう 〔稚内西方〕
レプン・シリ(沖の島)
【歴舟川】れきふねがわ 〔大樹町〕
ペ・ルプネ・イ(大水の出る所)
「歴(へ)る」という音読みを使って「歴舟(へるふね)」と当て字したが、いつしか音読みされるようになったらしい。日方風(ひがたかぜ:南西の風)が吹くと洪水になるという意味での「日方川」という愛称も地元には残っている。

―ろ―
 
―わ―
【稚内】わっかない 〔日本最北端の都市〕 **市・**港
ヤム・ワッカ・ナイ(冷たい川の水)のヤムが省略されたもの。
ワッカは特に飲用水を意味す。
【和寒町】わっさむ 上川支庁
ワット・サム(ニレの木のそば)