「重曹で作る米ぬか石けん 考察その1」はこちら
さて、考察の続きです。
前の記事「重曹で作る米ぬか石鹸をとりあえず作ってみる」にも書きましたが、あちこちで見かける「杉原先生の米ぬか石けんのレシピと作り方」によると、材料は
水:600cc
重曹:20g
米ぬか:200g
となりますが、この材料の中で油を含むものは米ぬかです。
こめ油専門店のHPなどによりますと、米ぬかに含まれる油分は大体15%〜20%らしいです。ということは米ぬか200gに含まれる油脂は30gから40g。
仮に油脂がこめ油で35gだとして、鹸化価から換算される必要苛性カリの量は
35gx0.188=6.58g
これを重曹の場合に必要な量に換算すると
6.58g÷56.10x83.98=9.85g
となるんです。
杉原先生のレシピだと重曹は鹸化に必要な量のおよそ2倍入ることになります。
ちょっと、重曹多すぎ?
あと、水分なんですが、石鹸のJIS規格「JIS K3302:1985」によると固形石鹸の水分量は30%以下となっています(=普通に売っている石鹸の含有水分量は30%以下になっているということです)。前田京子さんの本でも水:油=28:72を推奨されています。
前田さんの本で紹介されているのはコールドプロセス(加熱しない)なので水分はほとんどそのまま残ると考えていいでしょう。かたや杉原先生の米ぬか石けんはバリバリのホットプロセス。作成工程で水分が蒸発してしまうことも想定して多めにするのはいいのですが、35gの油脂に対して600gの水はちょっと多すぎでは?と思ってしまいました。
しかし、落ち着いて考えてみると米ぬかに含まれる油脂も「15%〜20%」というのはあくまで一般論ですのでもっと多いこともありえます。杉原先生のレシピはアルカリを過多にしておいてブレ幅の大きい米ぬかの油脂分を確実に油脂を鹸化する作戦ともとれます。また水の量も蒸発したり米ぬかの油脂以外の粉っぽい成分に水分が取られてしまったりすることも考えると、十分多めにしておくことも重要かと思えます。
杉原先生の米ぬか石けんレシピは台所用石けんに限定すれば、よく練られたレシピかもしれませんね。
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